整形外科
整形外科
整形外科は、わかりやすくいうと、「骨、関節、筋肉のお医者さん」です。
もっと正確に説明すると、首から下の骨や関節、筋肉、靭帯、脊髄、神経などからくる症状・疾患を総合的に取り扱う診療科といえます。
そのため、怪我による打ち身(打撲)・捻挫・脱臼・骨折などの外傷から、肩こり・腰痛・膝痛など日常的によくみられる身体の痛みやしびれを専門的に診療いたします。
よく間違えられますが、顔を整形するといった美容整形とは完全に異なります。
骨折や関節の痛みを扱うことから、関連する骨粗鬆症や関節リウマチ、痛風、軟部組織の腫瘍性疾患、先天的な運動器疾患など幅広く診療しております。
リハビリテーションは運動器の症状や機能の改善のために必須であり、運動器リハビリテーションは整形外科において治療の大きな役割を担っております。
当院では、小さなお子さんからご高齢の方まで、すべての年齢層の患者様を診療いたします。
体のどこかが痛い、事故でけがをした、しびれや痛みで手足が思うように動かせない、といった症状や、骨が弱くなる骨粗鬆しょうや、関節の腫れや変形など、運動器についてのお悩みや困りごとがありましたら、何でもお気軽にご相談ください。
健康寿命が延び、人生100年時代となりました。
患者様のお悩みを親身になってうかがいながら、健やかでイキイキとした生活を送るお手伝いをします。何でもお気軽にご相談ください。
加齢変化に伴って頚椎(脊椎の首の部分)や頚椎の間にあるクッションである椎間板が変形すると、頚部周囲(首~肩周辺)に痛みやしびれ、こり感などの局所症状が現れることがあります。これらを変形性頚椎症と総称し、脊髄(せきずい)が圧迫されている場合を頚椎症性脊髄症、脊髄から枝分かれする神経(神経根)が圧迫されている場合を頚椎症性神経根症と呼びます。神経の症状があるときにはMRI検査が必要となります。40代から増えてくる疾患で、肉体労働や上を見上げたり、下を見下ろしていることが多い方に発症しやすい疾患で、比較的頻度の高い疾患です。
頚椎(けいつい)の骨と骨の間には椎間板というクッションがあり、衝撃を吸収したり、脊椎を安定化したりする役割を担っています。この椎間板の組織が痛んで、飛び出すことで脊髄や神経根を圧迫してしまう病気が頚椎椎間板ヘルニアです。脊髄が圧迫されると首、肩、腕の痛みのほか、手足にしびれが生じることがあります。レントゲンだけでは椎間板は見えないので、正確に診断するためにはMRI検査が必要になります。
頚椎挫傷は、交通事故や激しいスポーツなどで頭部や顔面を強く打ったりして、首に強い力が加わったりすることで発生します。首を固定している筋肉や靱帯、神経、などを損傷してしまうことが主な原因です。すぐに痛みが生じることもありますが、数時間から数日経過してから症状が出現することもあります。首の痛みや首が動かないといった障害のほか、頭痛、首から背中にかけての痛みやコリが主な症状です。治療は投薬治療のほかに、症状に応じてリハビリテーションによる治療を行います。
中年以降、とくに50歳を過ぎたころに症状が出現しやすいため一般的には四十肩・五十肩とも呼ばれています。加齢や過労により、肩関節を包む袋(肩関節包)や腱板などに炎症が起こることによって、痛みが生じると考えられています。放っておいて自然治癒することもありますが、ときに夜の痛みで眠れなくなったり、肩の動きが悪くなり日常生活に支障がでてきます。急性期には炎症を落ち着ける治療を投薬や注射にて行いながら、症状に応じて筋肉を強化するためや、肩が硬くなることの予防やリハビリによる治療を行います。
肩腱板とは、肩を動かすためのインナーマッスルの総称で、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)という4つの筋肉の集まりをいいます。肩はこれらが協調して動きますが、怪我や使いすぎなどで一部もしくは全体が切れてしまった状態が肩腱板断裂です。年齢とともに自然にすり減っていくこともあり、年齢や状態によって治療法が異なります。
肩関節脱臼は、いわゆる「肩が外れた状態」のことをいいます。外部から強い力を受けることで上腕骨頭(じょうわんこっとう)が肩甲骨の関節面から関節の外に押し出されることで起こります。癖になると軽い力でも脱臼することがあり、習慣性肩関節脱臼といいます。大事なことは初回脱臼を癖に(習慣化)しないことですが、不運にも習慣化してしまった場合には手術治療を行う場合があります。
肩こりは、首のつけ根から肩や背中にかけて、張り・コリ・痛みといった症状があり、人によっては頭痛や吐き気を伴うこともあります。原因には姿勢や仕事、運動不足、精神的なストレスなどが挙げられます。症状改善のための投薬治療、筋力・姿勢改善のリハビリによる治療があります。
重量物の運搬や、前かがみ動作、時にはクシャミなどの腰への負荷によって、椎間板の髄核(ずいかく)が、後ろや横に飛び出してしまう状態を腰椎椎間板ヘルニアといいます。突出した部分(ヘルニア)が神経を圧迫し、腰だけでなく圧迫した神経の行き先であるでん部、下肢にしびれや痛みが起こります。幅広い世代で発症します。症状から推察することもできますが、正確な診断にはMRIが必要です。
背骨(せぼね)は、椎骨(椎体、椎弓)とそれをつなぐ椎間板、黄色靭帯などで構成されており、その内側には「脊柱管(せきちゅうかん)」と呼ばれる脊髄の神経が通る管があります。腰部脊柱管狭窄症は、加齢や重労働などによって椎間板や椎骨の変形や、上下の腰痛がずれるすべり症、黄色靭帯が肥厚などにより、脊柱管が狭くなり、中の神経が圧迫される疾患です。圧迫された神経がダメージをうけて腰や足の痛み、しびれなどの症状が起こります。腰椎の代表的な疾患で、高齢の方に多くみられます。正確な診断にはMRIが必要です。
坐骨神経は、人体のなかで最も太くて長い末梢神経で、腰椎(背骨の腰の部分)から出ているいくつかの神経根が束になって集まりできています。
坐骨神経痛によって、腰、でん部(尻)、太もも、ふくらはぎ、膝の裏、すね、足裏、足指などに電気が走ったような痛みやピリピリしたしびれ、麻痺などが起こります。これが坐骨神経痛です。坐骨神経痛とは、特定の疾患の名称ではなく、これらの症状すべてを指す総称であり、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などによって起きることが多いです。
腰痛の多くは、腰椎に負担や加齢性の腰の変形などで起こります。症状緩和目的の投薬治療の他に、加齢性に変化が伴う腰痛では、腰の柔軟性の改善や筋力UPなど、負担による腰痛では腰を支える筋肉のストレッチなどをおこないます。コルセットなども保険治療により処方可能です。
年齢とともに骨が弱くなってきた状態で、転倒やちょっとした作業などの際に背骨(脊椎)に負担がかかることで発症します。圧迫骨折を起こすと、寝ているとこからの起き上がりの痛みが強くなり、起き上がることが困難になります。治療はコルセットなどによる骨への負担軽減と、骨を強くする骨粗鬆症の治療が主体となります。X線(レントゲン)によって新しく潰れた骨が確認できれば診断できますが、痛めてすぐで潰れが少ないときや古い骨折などがある場合にはMRIで診断することもあります。
股関節は足の付根の大きな関節です。太もも側の大腿骨頭(だいたいこっとう)が、骨盤側のお椀の形状をした寛骨臼(かんこつきゅう)にはまり込み、関節を形成しています。寛骨臼と大腿骨頭の表面は軟骨に覆われていますが、変形性股関節症は、加齢性変化や外傷によって関節に負担がかかり、軟骨の破壊や軟骨と骨に変形が起きる疾患です。X線(レントゲン)によって診断可能ですが初期では異常が出ないこともあります。
前十字靭帯(ACL)は、膝関節の中心部で大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつなぐ、強靭な靭帯であり、後十字靭帯と十字に交差して膝関節を支えています。脛骨が前へずれないように機能し、この靭帯が損傷、または断裂することを前十字靭帯損傷といいます。スポーツ選手の怪我も多く、スポーツなどで膝を捻って発症することが多いです。
半月板は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に存在する軟骨性の板で、一つの膝に内側半月板、外側半月板の二つがあります。アルファベットの「C」に似た形状で膝の内側と外側にあり、膝のクッションとして周辺の関節軟骨を保護する役割を担うほか、膝の安定化や脚の屈伸もサポートしています。この半月板が傷ついてしまった状態を半月板損傷といいます。X線(レントゲン)では見えない組織であり、診断にてMRIが必要です。
変形性膝関節症は、日本人では比較的女性に多くみられ、高齢になるほど罹患率が高くなります。主な原因は加齢による軟骨の質の低下で、軟骨がすり減ったり、なくなったりして膝の形が変形し、痛みや腫れを生じます。骨折・外傷などの怪我や半月板損傷の後遺症として発症することもあります。また、膝関節には体重の数倍の負荷がかかっているため、肥満も要因の一つになります。
外反母趾とは、足の親指(母趾:ぼし)の付け根が隣の指(第2趾:人差し指)側に曲がって、母趾の関節が足の内側に突出した状態をいいます。親指が隣の指に向かって20度以上曲がっているものを外反母趾とすることが一般的です。靴との摩擦で足の内側の突出した部分に腫れや強い痛みが生じるため、靴を履いた歩行に支障を来します。
扁平足とは、足の裏の「土踏まず」の構造が潰れて足の裏が平らになった状態のことを言います。「土踏まず」とは、体重を効率よく支えるアーチ状の構造のことである、この構造はさまざまな靱帯や腱などによって形成されていますが、これらが緩んだり切れたりすることでアーチ構造が潰れ、扁平足の状態になると考えられています。
成人になってから発症する扁平足は加齢による靱帯の変性や体重の負荷などで靱帯が切れることが原因であり、進行すると足が変形して歩行障害を引き起こすこともあります。
基本的には、筋力トレーニングやアキレス腱ストレッチなどのリハビリテーション、アーチ構造をサポートする足底板(インソール)の使用によって対処することが可能です。
足底腱膜と呼ばれる足の裏に存在する膜(まく)の踵(かかと)の骨への付着部が炎症を起こした状態のことです。足底腱膜は足底のアーチ構造(いわゆる土踏まず)を支えており、足にかかる衝撃を吸収するクッションのような役割を果たすほか、吸収した衝撃を逆に蹴り出す際のエネルギーとして活用する役割をしていますが、足底腱膜炎が生じると、痛みや蹴り出すときの力のバランスが悪化のため、歩く・走るなどの動作がしにくくなります。
一時的によくなっても再発することが多く、走るなどのスポーツをするほど症状が強く出る場合もあります。通常どおりの運動ができずスポーツや日常生活が制限されることもあるため、早めに治療や対策を行うことが大切です。