手根管症候群の手術について
~安心して治療を受けていただくために~
手術が必要になるのはどんなとき?
手根管症候群は、多くの場合「安静」「装具」「注射」などの保存療法で様子を見ます。
しかし、次のような場合には手術が勧められます。
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しびれや痛みが長く続く
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夜中のしびれで眠れない
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指先の感覚が鈍い
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親指の筋肉(母指球)がやせてきた
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保存療法で改善が見られない
手術の方法
行われる手術は「手根管開放術」と呼ばれるものです。
手根管開放術とは
・正中神経という神経が手首のトンネル(手根管)で圧迫されています。
・手首のトンネル(手根管)の天井にあたる横手根靱帯を切開し、神経の圧迫を取り除く手術です。
・当院ではminiOpen法といって手首に1cm、手のひらに2~3cm程度の小さな創で確実な神経の解放をおこないます。
・正中神経がの圧迫がなくなり、しびれや痛みが改善していきます。
- 当院での手術の流れ
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麻酔:局所麻酔で手術可能です。
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手術時間:10~30分程度
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入院:不要です。日帰りで手術可能です。
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術後:しびれはすぐ改善する場合もあれば、数週間~数か月かけて少しずつよくなることもあります。
術後の経過と注意点
・傷口の痛みは数日で落ち着きます
・抜糸を2週間程度で行います。
・重い荷物を持つ・強く握るなどは、医師の指示があるまで控えます。
・仕事復帰は軽作業なら1~2週間、力仕事は1か月を復帰の目安にします。
手術で期待できる効果
・夜間の痛みしびれが強い場合には比較的早期に症状が改善し、睡眠がとりやすくなります。
・指先の感覚が戻り、細かい作業がしやすくなります
・進行していた筋力低下も、時間をかけて回復する場合があります
まとめ
手根管症候群は放置すると神経のダメージが進み、回復に時間がかかってしまいます。
保存療法で改善しない場合は、手術を行うことで日常生活の質を大きく改善できる可能性があります。
不安や疑問があれば、遠慮なく医師にご相談ください。
作成者:小野田亮介(整形外科専門医)